「幻想 〜 ゆめごこち 〜」レビュー
公式PV
あらすじPV
まえがき
もうすっかり年末な気分ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ベニマグロ(https://x.com/benimaguro136)と申します。
私は先日「幻想 〜 ゆめごこち 〜」というゲームを購入し、クリスマスイブの夜に(DLCを除いた)全ステージ100%クリアを達成することができました。
このゲームについて少し調べてみたところ、レビューなどをされている方は見当たらなかったため、無いのなら自分で書こうと思い、この記事の執筆に至りました。
拙い文章ではありますが、最後までお読み頂ければ幸いです。
以下常体
製品情報
タイトル 幻想~ゆめごこち~
発売日 2024年11月22日
ハード Nintendo Switch™ DL版
ジャンル 新感覚陣取りゲーム
価格 2,000円
プレイ人数 1人
対応言語 日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語
対応音声 日本語
CERO D(17歳以上対象)
公式サイトより抜粋
ゲーム概要
「幻想~ゆめごこち~」(以下「このゲーム」)の公式ジャンル表記は「新感覚陣取りゲーム」となっているが、要するに「QIX」や「ヴォルフィード」のような陣取りゲームである。直接のオマージュ元は恐らく「ギャルズパニック」シリーズであり、基本的なルールはそちらに準ずる。
プレイヤーは球体状の自機を操作し、「自分の領地の境界線を動く」ことと「領地外に飛び出して線を引き、囲った部分を領地にする」ことの二つのアクションを駆使して、敵の妨害をかいくぐりつつ領地を増やしていく。制限時間内に女の子のイラストのうち規定のパーセンテージを自分の領地にできればクリアとなる。
また、「ほぼ全ての攻撃は境界線上にいるときはダメージとならない」、「ボスを囲った際はボスのいない側が自分の陣地になる」などの仕様もギャルズパニックシリーズと同様である。
ステージ構成は10キャラ×2イラスト(立ち絵/ご褒美絵)×2ステージの合計40面であり、各キャラのステージの最初と最後にシナリオパートが挟まれるほか、各ステージのクリア後にLive2Dの鑑賞タイムが存在する。
陣取りゲーム
ここからは、ゲームを構成する各要素について見ていく。
まず陣取りゲーム部分についてだが、他の一般的な陣取りゲームと比較した際の特徴は以下のようなものとなる。
- ステージの大きさ
- 敵の数・行動ルーチン
- アイテムの取得方法
- 一定時間無敵になれるシステム
- 斜め移動の可否
- 終了タイミング
- 店での買い物による強化
- 背景イラストがLive2D
- バラバラの陣地を線で繋げられない
一つずつ詳しく見ていく。
1.ステージの大きさ
一般的な陣取りゲームでは基本的にステージは1画面に収まるサイズ、スクロールしても1.5画面程度である。
それに対してこのゲームのステージは最初のステージでも3画面分、最難関ステージでは20画面分もの広大さを誇っている。
自機の移動速度が早いわけでもないため、普通に陣地を少しづつ増やしていくやり方では3人目のステージあたりでクリア出来なくなってしまう。そのため、前述した「ボスを囲った際はボスのいない側が自分の陣地になる」仕様を利用して、ボスを女の子のイラストのない画面端に追い込み、ボスの周囲を囲って一気にクリアすることがほぼ唯一のクリア手段となる。
しかし、「ボスを囲った際はボスのいない側が自分の陣地になる」仕様についての解説は一切ないため、そのクリア手段に気付くかどうかは完全にプレイヤーの知識とスキルに委ねられている。
2.敵の数・行動ルーチン
一般的な陣取りゲームでは、敵の構成はボス+ザコ0~4体程度が基本である。
このゲームでもその構成は踏襲されているが、高難易度ステージになるとザコの初期配置が6体になり、またザコの移動速度もプレイヤーと同等以上と、全体的に難易度を上げた調整となっている。
また、ザコの行動ルーチンは「直進→壁にぶつかったら反射する」や、「一定距離直進→停止して方向転換→一定距離直進…」のような、規則的で移動ルートを把握しやすいものであることが多い。
このゲームのザコの行動ルーチンは体感として、「ランダムな距離直進→ノータイムノーモーションでランダムな方向or自機方向に方向転換→ランダムな距離直進」で統一されている。これはほとんど行動の予測ができないことを意味しており、また離れた位置にいるザコでもすぐに自機周辺に集まってくる。
以上の理由より、特に高難易度ステージではスタート後すぐに大量のザコに囲まれ、予測できない挙動で残機を失う展開が頻発し、プレイヤーに看過できないストレスを与えている。
また、ボスの行動ルーチンに関しても、このゲームで個人的に最難関と考えているボス「寝肥」などの一部のボスは自機から一定の距離を保ちつつ逃げるように移動し、ステージの広さ、ボス本体の攻撃性能もあってボスを囲むことが極めて難しくなっている。
さらに、一部のボスに非常に小さい予備動作で広範囲の陣地破壊攻撃を行ってくるものがおり、開幕数秒で撃たれた経験から考えると特に使用制限なども設定されていないため、究極的には運ゲーになってしまう部分がある。
3.アイテムの取得方法
一般的な陣取りゲームでは、初期配置や時間経過でステージ上にアイテムが出現し、囲んで取得するとスピードアップ、攻撃が撃てるようになるなど様々な恩恵を受けることができる。
このゲームにもアイテムは存在するが、下画像のような玉手箱の形で出現し、囲むとアイテムが少し離れた位置に出現するのでそれをまた触るか囲んで取得するという流れを踏む必要がある。

この玉手箱には敵味方双方に対する当たり判定が存在する上、初期配置で並んで出現することが多いため、お助けアイテムというよりも障害物のような扱いになることも多い。
また、アイテムが少し離れた位置に出現するという点にも問題があり、既に陣地であるかどうかにかかわらず出現地点に選ばれるため、下画像のような取得できないアイテムが多発する。

また、アイテムの種類についてもゲーム内で説明がないため、自分で試して覚える必要がある。



上の画像の左から順にスピードアップ、ザコ全滅(ただし直後に湧き出す)、5秒間時間停止である。この他にも無敵ゲージ回復、残機回復が存在するが、玉手箱から出現するものしか存在しないため、常に取得不可のリスクがつきまとう。

また、上の画像のコインを取得することでゲーム内通貨が100増加するが、このゲーム内通貨はこの方法でしか取得することができない。
4.一定時間無敵になれるシステム
有限のゲージを消費しながら一定時間無敵になれる「無双結界」というシステムが存在するが、初期状態では敵の攻撃を1発受けただけで即座にゲージが空になり、直後に効果が切れてしまう。また、残機が減ってもゲージは回復しないため、単なる保険程度にしかならない。
また、フィールド上にランダムに出現するアイテムを3つ取得すると「越神化」という状態になり、一定時間フィールド上のどこにでも移動できるようになるが、肝心のアイテムが高速で動き回るため取得が難しく、集めて発動しても制限時間が表示されず、「ボスを囲った際はボスのいない側が自分の陣地になる」仕様の対象外になるため、こちらも最後の詰めなどでしか役に立たない。
5.斜め移動の可否
一般的な陣取りゲームでは、よほど古い作品でなければ上下左右に加えて斜めに移動して陣地を切り取るシステムが搭載されている。
このゲームには斜め移動が存在しないため、上下左右の4方向移動でボスの弾幕や高密度のザコ敵をかいくぐらなければならない上、敵は当然の権利のように16方向に移動して接近してくる。
また、斜め移動がシステムとして存在しないにもかかわらず、陣地を斜めや円形に削るボスの行動が非常に多く存在し、そのような攻撃で削られた箇所を移動しようとすると非常にカクカクした動きになる。
6.終了タイミング
一般的な陣取りゲームでは、制限時間内に女の子のイラストのうち規定のパーセンテージを自分の領地にできればその時点でクリアとなり、達成パーセントとスコアが計算される。
しかし、このゲームでは、あくまで100%クリアを目指せということなのかノルマを達成してもステージクリアとならず、制限時間までゲームが続く。
100%クリアを目標とする際には助かる仕様ではあるのだが、全てのボスが低~中確率で陣地破壊攻撃を行ってくるため、制限時間直前でノルマを下回ってゲームオーバーという事態が低くない確率で起こる。
また、ボス「輪入道」は移動できる範囲が小さくなると周辺の広範囲を爆破する地形破壊攻撃を行ってくるため、無敵ゲージがなければ防御不可能で残機を1つ失うことになる。(公式PV1:36の攻撃)
7.店での買い物による強化
公式PV1:26付近のように、ショップで消費アイテムを購入したり、強化アイテムを購入して半永久的に残機や無敵ゲージを増やすことができる。
しかし、前述したように玉手箱からの入手で100ずつしかゲーム内通貨が手に入らない仕様であるにもかかわらず、消費アイテムの価格は1個4000、残機を増やすには1個3500のアイテムが5個で17500、無敵ゲージを増やすには1個1500のアイテムが5つで7500必要と、アイテムの値段が余りにも高すぎる。
7500のゲーム内通貨を稼ぐためには、当然のことながら75回「宝箱を開ける→コインを回収する」流れをこなす必要があるため、かなりの手間がかかる。参考までに、私は無強化状態でこのゲームを10時間程度遊び全ステージを100%クリアしたが、総獲得通貨は8100程度であり、これはやっと無敵ゲージが1個増える程度の数字である。
因みに、公式アカウントのポストによれば、メインヒロインポジションでショップ担当の「雪女」はショップで複数回買い物することでイベントが発生するそうだが、この世紀末的インフレでは彼女のイベントを発生させることは極めて困難であり、担当の山本希望女史が不憫でならない。
💡追加で、ゲームを進めるヒント!
— ぷるめ (@purmoe_dl) 2024年11月23日
ヒロイン役の雪女ちゃんがどこにも見当たらない…?
でも実は…彼女はDLCポジションではありません!
……!?❄️✨👀
「屋台で買い物」をすると、
いつもと違うセリフが聞こえてきたりしませんか?
そこに何か特別なイベントの始まりかも…!?🤫
8.背景イラストがLive2D
陣取りゲームの背景がLive2Dとなっている。このこと自体は画期的であり評価できるのだが、得点対象となっているのは動いていない元の絵の部分のみらしく、特に髪の毛などのパーツの動きが激しいキャラはどこを囲えばいいのかイマイチ分かりづらい。
また、Live2Dと直接は関係ないが、「濡れ女」のステージではイラストの周囲に漂う非常に小さい泡が得点対象となっており、極めて視認性が劣悪な部分がある。
9.バラバラの陣地を線で繋げられない
一般的な陣取りゲームでは、ボスの陣地破壊攻撃などでバラバラになった陣地の間は線状の陣地で繋げることができ、比較的スムーズに立て直すことができる。
このゲームは線状の陣地で繋げることはできず、バラバラになった陣地を繋げるためには二つの陣地を囲む大きな陣地で囲む必要がある。
細かい仕様ながら斜め移動不可との兼ね合いからかなり大きいストレス要素となっており、特に「般若」のステージでは陣地をズタズタにしてくる攻撃と相まって猛威を振るう。
グラフィック
美少女化された妖怪のイラストのクオリティは総じて高く、Live2Dも滑らかによく動く。
しかし、キャラクターの配色が全体的に淡色中心で若干パンチが弱いほか、せっかくクリア後モードで頭から足先まで眺められるのに細部のディティールが少なめな点など、まだキャラクターの魅力を引き出す余地があると感じた。
また、ご褒美絵に関して、「猫又」「輪入道」などはほとんど脱いでいないのに、「寝肥」「おろち」などはかなりギリギリまで露出しているなど、キャラクターによるセクシーさの格差が激しい。個人的にはCERO:Dならもっと攻めてもよいと感じる。
サウンド
作曲はケーナ奏者でもある音楽クリエイターのQuena.K氏によって担当されており、和風な雰囲気で手堅くまとまっていると感じる。
個人的にはアップテンポでイケイケな和ロックの「輪入道」ステージの曲が最も気に入っている。キャラに合わせてバイクのエンジン音が入っているのもポイント。
サムライアパートメントというバンドによる主題歌「幻想 〜 ゆめごこち 〜」が存在し、ゲーム内のスタッフロールにも入っているのだが、アップデートでPV追加予定だそうで現状ではゲーム内で聞く手段はない。エンディングテーマではダメだったのだろうか。
シナリオ
シナリオはテキスト制作チーム「ジャイロナックル」が担当しており、各キャラのステージ開始前と終了後にソシャゲ風のシナリオパートが存在する。
クオリティは可もなく不可もなくといったところであるが、ほぼ全てのステージで主人公(神社の当主)と妖怪の女の子の二人しか登場人物が存在しないほか、なんと確認できた限りでは立ち絵が2つ以上表示される場面が存在しない。
「夏目と妖怪しか出てこない夏目友人帳」のようなものなので、この構成で面白くすること自体にかなり無理があるのではないかと考える。せめてツッコミ担当のマスコットキャラぐらいは欲しい。
また、陣取りゲームのボスは各妖怪の負の部分が活性化したもので、それを活性化させている黒幕の存在が劇中で何度も言及されているのだが、影も形もゲーム中に出てこず、当然倒せもしない。それなのにエンディングで「遂に当主は成し遂げた」などと言われるのは違和感が強い。
ボイス
全キャラクターのCVを声優事務所RME所属の声優が担当しており、なんとオープニングとエンディングのナレーションは代表取締役会長の柴田秀勝御大自らが担当されている。
確かな演技力でキャラクターの個性を出しているが、いかんせんボイスの総数がかなり少ない。シナリオパートには全くボイスがない点も気になる。PVにあったお触りモードが今後実装されるそうなので、追加ボイスに期待したい。
個人的なお気に入りはテンション高めな「輪入道」とゆるふわボイスの「寝肥」で、特に「寝肥」は担当ステージの難易度も相まって強く印象に残った。
東北要素
公式サイト等を見るとかなり「仙台発」「東北発」という点をプッシュしているが、ゲーム中ではオープニングやシナリオパートでサラッと言及される程度でほとんど東北らしさは感じなかった。
「北へ。」シリーズや「風雨来記」シリーズのようなレベルではなくても、シナリオや立ち絵の小物などに東北名物や名所を入れる、東北弁で話す妖怪を登場させるなど、もう少し東北要素を入れても良かったのではないかと感じる。なぜか京ことばの妖怪はいるので尚更。
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございました。
いろいろと厳しいことも書いてしまいましたが、Purmoe Design Labさんのゲームはこのゲームが一作目ということで、まだまだ成長の余地が大きいと思っています。
元々グラフィックデザインの会社なだけあって、タイトル画面やLive2D、あらすじPVなどのグラフィック技術は素晴らしいものがあるので、今作の経験に基づいた次回作がどのようなものになるのか私は楽しみにしております。
それではみなさんよいお年を!